ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 ホーム > 組織でさがす > 土木部 > 監理課 > 建設業法に関する豆知識

本文

建設業法に関する豆知識

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0005431 更新日:2020年8月1日更新

建設業者の方々へ  ~建設業法マメ知識~

1.建設業者が請け負うことができる工事の種類は?

 建設業法では、建設業の業種を2種類の一式工事と27種類の専門工事に分類しており、建設工事を請け負うにあたっては、軽微な工事を除き、必要となる業種ごとに建設業の許可を受けなければなりません。
(許可を受けた建設工事を請け負う場合において、その建設工事に附帯する他の建設工事を請け負うことは可能です。)
 例えば、建築一式工事のみの許可を持っている場合、1棟の住宅建築工事を請け負うことはできますが、大工工事、屋根工事、内装工事、電気工事、管工事、建具工事などの専門工事を単独で請け負う場合は、軽微な工事である場合を除き建設業法違反となります。
※ 許可の必要のない軽微な工事
 建築一式工事以外の工事・・・請負代金の額が税込500万円に満たないもの
 建築一式工事・・・税込1,500万円に満たないもの、又は延面積が150平方メートルに満たない木造住宅工事
(関係法令:建設業法第3条、第4条)

2.特定建設業と一般建設業の違いは何ですか?

 一般建設業と特定建設業とも、請負額の制限はありませんが、発注者から直接請け負った工事(元請)を下請に発注できる金額に違いがあります。一般建設業者の方は、下請契約の総額が税込4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上は下請に発注することができません。一方、特定建設業者の方は、下請契約の総額に制限はありません。
 この規定は、自社が元請である場合にのみ適用されます。下請業者として契約した場合は、一般建設業者の方であっても、再下請に発注する金額の総額に制限はありません。
 特定建設業は下請負人の保護の徹底を図るために設けられた制度であり、特定建設業者には下請代金の支払期日、下請負人に対する指導、施工体制台帳の作成など特別の義務が課せられます。また、特定建設業の許可の取得にあたっては、営業所の専任技術者の資格や財産的基礎などに関し、一般建設業よりも厳しい要件が課されています。
(関係法令:建設業法第3条、第24条の5、第24条の6)

3.主任技術者や監理技術者とは何ですか?

 建設業の許可を受けている建設業者は、請け負った工事を施工する場合、元請下請・金額の大小にかかわらず、「主任技術者」を置かなければなりません。
 主任技術者は、施工計画の作成や工程管理など、その工事現場における施工の技術上の管理を行います。
 主任技術者になり得る人は、その工事業種における一般建設業の営業所の専任技術者になり得る資格のある人(国家資格者、実務経験者など)です。
 元請として発注者から直接請け負った工事で、下請契約の総額が税込4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上となる場合は、主任技術者の代わりに「監理技術者」を置くことになります。
 監理技術者の業務には、主任技術者の業務に加え、下請人の適切な指導・監督なども含まれます。そのため、監理技術者になり得る人は、その工事業種における特定建設業の営業所の専任技術者になり得る資格のある人(一級国家資格者など)と、主任技術者の要件より厳しくなっています。
 また、監理技術者を置く必要があるのは元請業者だけです。自社が下請業者の場合は、再下請に出す金額が大きくなっても、配置する技術者は監理技術者ではなく主任技術者です。
 以上のように、主任技術者と監理技術者は、一つの工事に必ずどちらかは置かれることになります。(複数置かれる場合もあります。)
 なお、主任技術者・監理技術者には、基本的には自社社員でない在籍出向社員を主任技術者・監理技術者にあてることはできません。
(関係法令:建設業法第26条)

4.技術者の現場専任とは何ですか?

 公共性のある工作物に関する工事(個人住宅を除くほとんどの工事)で、請負金額が税込3,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上の工事を施工する場合は、元請下請にかかわらず、主任技術者又は監理技術者を現場ごとに専任で置く必要があります。現場に専任されている技術者は、他の現場の技術者との兼任は認められません。
 また、公共工事においては、現場に専任されている監理技術者は監理技術者資格者証の交付を受けたものでなければなりません。
 専任の必要な工事のうち、密接な関係のある2つ以上の工事を同一の場所又は近接した場所において施工する場合は、同一の主任技術者が兼任することができますが、監理技術者の場合は兼任は認められていません。
(関係法令:建設業法第26条、施行令第27条)

5.主任・監理技術者との現場代理人の違いは何ですか?

 主任技術者・監理技術者は建設業法の規定に基づき配置される技術者です。一方、現場代理人は、契約に定めがある場合に設置するもので、工事現場の運営、取り締まりを行うほか、代金の授受などを除いた請負契約に関する一切の権限を行使する人です。従って、現場代理人は必ずしも技術系の職員でなくてもかまいません。
 また、主任・監理技術者と現場代理人は兼務することもできます。
 現場代理人は、約款の定めにより現場常駐を求められることがあります。ほとんどの公共工事においては、現場代理人は現場常駐が定められており、他の工事との兼任もできません。
(関係法令:建設業法第19条の2、第26条)

6.施工体制台帳の作成とは何ですか?

 特定建設業者が受注した工事で、下請契約の総額が税込4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上になる場合には、施工体制台帳を作成しなければなりません。
 また、公共工事については、元請業者が下請契約を締結するときは、その金額にかかわらず、施工体制台帳を作成し、その写しを発注者に提出しなければなりません。
(関係法令:建設業法第24条の7、建設業法施行令第7条の4、公共工事入札契約適正化法第15条)

7.一括下請負の禁止とはどういうことですか?

(1)一括下請負の禁止

ア 建設工事の発注者が受注者となる建設業者を選定するに当たっては、過去の施工実績、施工能力、経営管理能力、資力、社会的信用等様々な角度から当該建設業者の評価をするものであり、受注した建設工事を一括して他人に請け負わせることは、発注者が建設工事の請負契約を締結するに際して当該建設業者に寄せた信頼を裏切ることになります。

イ また、一括下請負を容認すると、中間搾取、工事の質の低下、労働条件の悪化、実際の工事施工の責任の不明確化等が発生するとともに、施工能力のない商業ブローカー的不良建設業者の輩出を招くことにもなりかねず、建設業の健全な発達を阻害するおそれがあります。

ウ このため、建設業法第22条は、いかなる方法をもってするかを問わず、建設業者が受注した建設工事を一括して他人に請け負わせること(同条第1項)、及び建設業を営む者が他の建設業者が請け負った建設工事を一括して請け負うこと(同条第2項)を禁止しています。

 また、民間工事については、建設業法施行令第6条の3に規定する共同住宅を新築する建設工事を除き、事前に発注者の書面による承諾を得た場合は適用除外となりますが(同条第3項)、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(平成12年法律第127号)の適用対象となる公共工事(以下単に「公共工事」という。)については建設業法第22条第3項は適用されず、全面的に禁止されています。

(2)一括下請負とは

ア 建設業者は、その請け負った建設工事の完成について誠実に履行することが必要です。したがって、元請負人がその下請工事の施工に実質的に関与することなく、以下の場合に該当するときは、一括下請負に該当します。

(ア) 請け負った建設工事の全部又はその主たる部分について、自らは施工を行わず、一括して他の業者に請け負わせる場合

(イ) 請け負った建設工事の一部分であって、他の部分から独立してその機能を発揮する工作物の建設工事について、自らは施工を行わず、一括して他の業者に請け負わせる場合

イ 「実質的に関与」とは、元請負人が自ら施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理、技術的指導等を行うことをいい、具体的には以下のとおりです。

(ア) 発注者から直接建設工事を請け負った建設業者は、「施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理、技術的指導等」として、それぞれ次に掲げる事項を全て行うことが必要です。

  1. 施工計画の作成:請け負った建設工事全体の施工計画書等の作成、下請負人の作成した施工要領書等の確認、設計変更等に応じた施工計画書等の修正
  2. 工程管理:請け負った建設工事全体の進捗確認、下請負人間の工程調整
  3. 品質管理:請け負った建設工事全体に関する下請負人からの施工報告の確認、必要に応じた立会確認
  4. 安全管理:安全確保のための協議組織の設置及び運営、作業場所の巡視等請け負った建設工事全体の労働安全衛生法に基づく措置
  5. 技術的指導:請け負った建設工事全体における主任技術者の配置等別添法令遵守や職務遂行の確認、現場作業に係る実地の総括的技術指導
  6. その他:発注者等との協議・調整、下請負人からの協議事項への判断・対応、請け負った建設工事全体のコスト管理、近隣住民への説明

(イ) (ア)以外の建設業者は、「施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理、技術的指導等」として、それぞれ次に掲げる事項を主として行うことが必要です。

  1. 施工計画の作成:請け負った範囲の建設工事に関する施工要領書等の作成、下請負人が作成した施工要領書等の確認、元請負人等からの指示に応じた施工要領書等の修正
  2. 工程管理:請け負った範囲の建設工事に関する進捗確認
  3. 品質管理:請け負った範囲の建設工事に関する立会確認(原則)、元請負人への施工報告
  4. 安全管理:協議組織への参加、現場巡回への協力等請け負った範囲の建設工事に関する労働安全衛生法に基づく措置
  5. 技術的指導:請け負った範囲の建設工事に関する作業員の配置等法令遵守、現場作業に係る実地の技術指導
  6. その他:自らが受注した建設工事の請負契約の注文者との協議、下請負人からの協議事項への判断・対応、元請負人等の判断を踏まえた現場調整、請け負った範囲の建設工事に関するコスト管理、施工確保のための下請負人調整ただし、請け負った建設工事と同一の種類の建設工事について単一の業者と下請契約を締結するものについては、以下に掲げる事項を全て行うことが必要です。
  • 請け負った範囲の建設工事に関する、現場作業に係る実地の技術指導
  • 自らが受注した建設工事の請負契約の注文者との協議
  • 下請負人からの協議事項への判断・対応

なお、建設業者は、建設業法第26条第1項及び第2項に基づき、工事現場における建設工事の施行上の管理をつかさどるもの(監理技術者又は主任技術者。以下単に「技術者」という。)を置かなければなりませんが、単に現場に技術者を置いているだけでは上記の事項を行ったことにはならず、また、現場に元請負人との間に直接的かつ恒常的な雇用関係を有する適格な技術者が置かれない場合には、「実質的に関与」しているとはいえないことになりますので注意してください。

(ウ) 一括下請負に該当するか否かの判断は、元請負人が請け負った建設工事一件ごとに行い、建設工事一件の範囲は、原則として請負契約単位で判断されます。

(注1)「その主たる部分を一括して他の業者に請け負わせる場合」とは、下請負に付された建設工事の質及び量を勘案して個別の建設工事ごとに判断しなければなりませんが、例えば、本体工事のすべてを一業者に下請負させ、附帯工事のみを自ら又は他の下請負人が施工する場合や、本体工事の大部分を一業者に下請負させ、本体工事のうち主要でない一部分を自ら又は他の下請負人が施工する場合などが典型的なものです。

(3)一括下請負禁止違反の建設業者に対する監督処分

受注した建設工事を一括して他人に請け負わせることは、発注者が建設業者に寄せた信頼を裏切る行為であることから、一括下請負の禁止に違反した建設業者に対しては建設業法に基づく監督処分等により、厳正に対処することとしています。

また、公共工事については、一括下請負と疑うに足りる事実があった場合、発注者は、当該建設工事の受注者である建設業者が建設業許可を受けた国土交通大臣又は都道府県知事及び当該事実に係る営業が行われる区域を管轄する都道府県知事に対し、その事実を通知することとされ、建設業法担当部局と発注者とが連携して厳正に対処することとしています。

監督処分については、行為の態様、情状等を勘案し、再発防止を図る観点から原則として営業停止の処分が行われることになります。

なお、一括下請負を行った建設業者は、当該工事を実質的に行っていると認められないため、経営事項審査における完成工事高に当該建設工事に係る金額を含むことは認められません。

(関係法令:建設業法第22条、公共工事入札契約適正化法第12条)

8.監督処分(指示処分及び営業停止処分)について

 建設業者は、上記の1から7までに説明した内容を含めた建設業法や、建設業の営業に関連するその他の法令の規定を遵守する必要があります。
 建設工事の施工に際しては、業務上通常必要とされる事項に関して注意義務を怠らず、適正な建設工事の施工を行うことによって、発注者の保護、そして建設業の健全な発展を促進し公共の福祉の増進に寄与することになります。
 ところが、必ずしも建設業法やその他の法令の規定が遵守されない場合があります。このような場合に、監督処分すなわち、指示処分、営業停止処分、そして許可の取消を受けることになります。
 さらに、このような監督処分を受けた場合、発注者による指名停止を受ける場合もあります。
(関係法令:建設業法第28条、第29条)

<参考>経営事項審査に虚偽の記載をした場合について

 経営事項審査申請書、財務諸表等に虚偽の記載を行い、当該申請による経営事項審査結果に基づき競争入札参加資格審査申請を行った場合は許可行政庁から監督処分(営業停止、指示処分)を受けることになります。また、監督処分を受けた場合は発注機関毎に指名停止を受けることもあります。
 建設業法においては、経営事項審査申請書、経営状況分析申請書、財務諸表等に虚偽の記載をして提出をした者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられることになります。
 また、国土交通大臣又は都道府県知事が経営事項審査のために必要と認めて申請者である建設業者に報告を求め、又は資料の提出を求めたにもかかわらず、報告をせず、もしくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告をし、もしくは虚偽の資料を提出した場合には、30万円以下の罰金に処せられます。
 なお、上記の刑に処せられた場合には、許可の取消しを受け、5年間は改めて許可を受けることができないこととなります。
(関係法令:建設業法第27条の23、第28条、第46条、第46条の2)