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令和5年9月熊本県議会定例会における議案説明要旨

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0184557 更新日:2023年9月13日更新

1.最近の県政の動向について

 今回の定例会に提案しております議案の説明に先立ち、最近の県政の動向について御説明申し上げます。

(1)令和5年梅雨前線豪雨等による災害への対応について
 まず、令和5年梅雨前線豪雨等による災害への対応についてです。
 6月29日から7月3日にかけて梅雨前線が九州付近に停滞し、特に7月3日は県内で線状降水帯が二度発生するなど、記録的な大雨となりました。
 家屋への浸水被害、公共土木施設や農業用施設の損壊、農地への土砂流入や山腹崩壊など様々な被害が発生し、被害額は公共土木施設で約168億円、農林水産業関係で約100億円にのぼっています。
 道路では、山都町の国道445号で落橋した金内橋について、先月29日に、国土交通省の御協力のもと、応急復旧工事に着手しました。農業関係では、災害復旧とともに営農再開に向けた指導も実施しています。
 今後も台風の襲来等も予想されることから、引き続き、土砂災害等の危険箇所の状況などを注視するとともに、国や市町村、関係機関ともしっかりと連携しながら、緊張感とスピード感を持って対応して参ります。

(2)赤潮被害への対応について
 次に、赤潮被害への対応についてです。
 八代海で発生した赤潮では、上天草市、天草市及び津奈木町において、養殖のカンパチ、マダイ、シマアジなど、112万尾を超えるへい死が報告されており、被害額の総額は約15億円となりました。
 県では、6月24日の被害報告の直後から、漁業者や関係市町などと連携し、赤潮の動向把握とともに、粘土散布や餌止め等による被害抑止に努めて参りました。
 今後とも、関係市町や漁業関係団体と連携し、実情に応じた支援を早急に検討して参ります。

(3)豚熱への対応について
 次に、豚熱への対応についてです。
 先月30日に、佐賀県唐津市において、九州では31年ぶりとなる豚熱の発生が確認されました。
 県では、発生直後から県内養豚農場に異常が無いことを確認し、飼養衛生管理基準の遵守徹底を指導しています。
 引き続き、農場防疫対策を講じながら、今後必要とされる豚へのワクチン接種についても、国、県内市町村のみならず九州各県ともしっかりと連携し、危機感を持って取り組んで参ります。

(4)令和2年7月豪雨災害への対応について
 次に、令和2年7月豪雨災害への対応についてです。
 まず、最重要課題であるすまいの再建については、各市町村における災害公営住宅が順次完成しており、今月は、球磨村渡地区や芦北町佐敷地区で入居が開始されます。
 引き続き、被災された皆様お一人お一人に寄り添いながら、関係市町村と連携し、すまいの再建が一日も早く実現できるよう全力で取り組んで参ります。
 球磨川の治水対策については、命と清流を守る「緑の流域治水」の理念のもと、球磨川流域の安全・安心に向けた取組みが本格化しています。
 新たな流水型ダムについては、先月に続き、今月5日に、国の「流水型ダム環境保全対策検討委員会」が開催され、環境影響の予測評価等を示す準備レポートの作成に向け、議論が重ねられています。
 先月26日には、相良村柳瀬地区において、球磨川水系で初となる遊水地事業が着工されるとともに、今月10日には、球磨村渡地区で引堤事業が着工されました。
 また、球磨村神瀬地区に続き、芦北町及び八代市坂本町においても、宅地かさ上げ事業が着工されるなど、各地域において、様々な治水対策が目に見える形で動き出しています。
 さらに県では、「緑の流域治水」の取組みへの理解の醸成を図るため、球磨川流域の小・中学校、高校で出前授業を実施するなど、幅広く情報発信する取組みも積極的に進めています。
 今後とも、あらゆる関係者と一体となって、球磨川流域の創造的復興に向けた取組みを加速させて参ります。
 長年ダム問題に翻弄され続けてきた五木村については、今月8日に、村の中心部である頭地地区周辺の新たなむらづくりに向け、国、県、村で協議会を立ち上げるなど、新たな振興計画に基づく具体的な取組みを進めています。
 また、流水型ダムの建設地となる相良村においても、川辺川を生かした新たな拠点づくりに向けた取組みなどが進んでいます。
 両村の振興は待ったなしの状況であり、引き続き、目に見える形で進むよう、全庁一丸となって取り組んで参ります。

(5)半導体関連産業の更なる集積について
 次に、半導体関連産業の更なる集積についてです。
 来年末の操業開始に向け、JASMの新工場建設が進む中、先月2日に、北海道の鈴木知事が来熊され、ともに半導体関連の国家プロジェクトを推進する自治体として、本県と北海道で連携協定を締結しました。
 これを契機として、半導体関連事業の推進に係る経済交流や情報・人的交流の促進、国への要望など密接に連携を行って参ります。
 水資源に関しては、経済発展と地下水保全が両立するよう、地下水取水量の削減、他の水源利用の推進、地下水涵養の更なる推進の3つの原則に沿った取組みが必要です。地下水涵養指針を改正し、地下水を利用する企業に対し原則10割のかん養を求めるなど、取水量と涵養量のバランスを維持していきます。
 また、規制物質に加え、規制外の化学物質もモニタリングすることにより、新たな工場稼働の前後で環境の変化を把握し、環境への影響が無いか客観的かつ科学的に確認して参ります。
 土地需要が旺盛になったことにより、一部の地域で農地の不足などが発生しており、将来の営農に対する不安の声が出ています。そのため、6月27日には営農継続支援チームを農林水産部に設置し、耕作可能な農地の確保や生産対策など、農家の方に寄り添いながら対策を進めています。
 先月21日には、周辺道路整備や空港アクセス鉄道の整備に加え、下水処理場や工業用水の浄水場新設について、岸田首相をはじめ関係省庁に対し、渕上議長とともに財政支援に関する緊急要望を行って参りました。
 岸田首相からは、「国としてもしっかり支えたい」という、力強い後押しの言葉をいただき、各大臣からも前向きな支援の言葉をいただきました。
 県としましても、引き続き、新しいシリコンアイランド九州の実現を目指し、最大限の取組みを進めて参ります。

(6)3つの国際スポーツ大会の開催について
 次に、3つの国際スポーツ大会の開催についてです。
 7月15日に開催された「ラグビー日本代表国際試合」は、県内外から約2万人の観客が訪れるなど大いに盛り上がり、ラグビーワールドカップ2023フランス大会に向け、大きな弾みとなりました。
 来月8日には、国際サイクルレース「ツール・ド・九州2023」の熊本阿蘇ステージが、11月には熊本県立総合体育館で国際バドミントン大会「熊本マスターズジャパン」が開催されます。
 これらの大会を通して、国内外から多くの方々に本県を訪れていただき、熊本地震や令和2年7月豪雨から復興する本県の姿を発信して参ります。

(7)「世界津波の日」2024高校生サミットの開催について
 次に、「世界津波の日」2024高校生サミットの開催についてです。
 2015年の国連総会で、日本の提唱による「世界津波の日」が制定されたことを契機に、世界各国の高校生が自然災害の脅威とその対策を学ぶ場として、「世界津波の日高校生サミット」が開催されています。
 国内各地で過去5回にわたり開催されてきたこのサミットを、来年度、本県で開催します。併せて、内閣府などの主催による「第9回防災推進国民大会2024」も開催されます。
 この二つのイベントを本県で同時期に開催し、災害の経験や教訓を国内そして世界に発信するとともに、次世代へ継承していくことにより、日本の「災害に対する安全保障」に貢献して参ります。

(8)国内外からの誘客や相互交流の促進について
 次に、国内外からの誘客や相互交流の促進についてです。
 これまで、オール熊本で就航誘致を進めて参りました熊本-台北線について、今月1日からスターラックス社、18日からチャイナエアライン社による、合わせて週7便の運航が実現しました。就航に御尽力いただいた多くの皆様方に心より感謝申し上げます。
 そして、新型コロナウイルス感染症の影響で運休が続いていた熊本-香港線についても、香港航空との間で、12月から週3便で運航することに合意しました。阿蘇くまもと空港の国際線ネットワークの充実は、本県にとって更なる追い風となるものであり、観光や経済をはじめとした多方面で広く交流が進むものと期待しています。
 また、7月15日には、熊本地震から7年余りの歳月を経て、南阿蘇鉄道が全線で運転再開し、併せてJR豊肥本線肥後大津駅への乗り入れが実現しました。これもひとえに、全国からの応援と発災直後からこれまでの国による格別の御支援、そして何より地元の皆様の熱意と努力の賜物であると思います。ここに改めて心から感謝の意を表します。
 今月28日には、国・県とともに「くまモンポート八代」を整備した、ロイヤル・カリビアン社のクルーズ船「スペクトラム・オブ・ザ・シーズ」が、八代港に寄港します。
 これに併せて、寄港を記念するイベントを開催し、広くポートの魅力を発信するとともに、ロイヤル・カリビアン社との一層の関係強化を図り、更なるクルーズ船の誘致につなげて参ります。
 着実な広がりを見せるこれらの機会を最大限に活用し、国内外からの誘客や相互交流を促進して参ります。​

2.議案について

 続いて、今定例会に提案しております議案について、御説明いたします。

 まず、一般会計補正予算は、物価高騰の影響を受けた生活者・事業者への支援や今年の大雨被害からの復旧事業などを計上しています。
 この結果、252億円の増額補正となり、これを現計予算と合算しますと、9,487億円となります。

 このほか今定例会には、条例案件や、決算の認定なども併せて提案しております。

 また、今会期中には、人事案件についても追加提案する予定です。

 これらの議案について、よろしく御審議くださるようお願い申し上げます。​