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毒キノコにご用心!!
秋の行楽シーズン
秋の行楽シーズンを迎え、キノコ・山菜・野草採集のために山に行かれる方も多いのではないでしょうか。山の幸の採集やそれを食べることは非常に楽しいのですが、これらの中には人に有毒な成分を持つものがありますので注意が必要です。
今回は過去に熊本県で発生した毒キノコによる食中毒と、万が一食中毒が発生した際に当所で行う検査についてご紹介します。
熊本県で発生した毒キノコによる食中毒事例
2013年に、熊本県山中で採取したキノコを食べて死亡する事件が発生しています。
食べたキノコは残っていませんでしたが、特徴的な症状(激しい下痢、嘔吐、腹痛)などからドクツルタケを食べたことによる食中毒であると判断されました。
【写真1】ドクツルタケ
【写真2】ドクツルタケ
食中毒発生時に当所で行う検査
形態によるキノコの鑑別は難しい
毒キノコによる食中毒は、早急に適切な処置を行わないと命に関わります。したがって、食中毒発生から原因の特定までに時間をかけることができません。食べたキノコが残っていれば、その形態からキノコの種類が明らかとなり、原因の特定がスムーズに進むかもしれません。ただし、2013年の事例のように食べたキノコが必ずしも残っているとは限らないですし、そもそも形態による鑑別は非常に難しいです。
機器分析による毒成分の検出
熊本県内でキノコによると考えられる食中毒が発生した際は、当所において原因の特定のために化学的検査を行うのですが、迅速に毒成分を検出できるように、機器分析(LC/MS/MS)による分析法を開発しました。当所の分析法はキノコからだけではなく、食中毒患者の血液及び尿からも毒成分を検出できるため、キノコが残っていなくても検査可能です。検査可能な毒成分は、ドクツルタケの毒を含む計11種類で、熊本県内で発生する可能性のある毒キノコによる食中毒の多くに対応できます。
参考リンク
- 毒キノコによる食中毒に注意しましょう(厚生労働省)<外部リンク>