本文
熊本北警察署(現 熊本中央警察署)
くまもとアートポリスの参加第一号プロジェクトが熊本北警察署の建替計画である。
敷地は白川に程近い白川公園沿い、国道に面しており、周囲は諸庁舎、経済連ビルなど規模の大きい建物が集中する地域である。
国道沿いの大きな楠を活かして、建物は大きくセットバックし、街作りの観点から北側の道路は、白川へとつながる散策路として整備されている。
熊本城へ向かう東西の強い軸線が、単体の建築を超えて、熊本市の中心部の街並みに与える効果も期待されている。
建築概要
ガラス張りの警察署と呼ばれるように正面はすべてハーフミラーが採用され、従来の警察のイメージを一新している。
建物は大きく2つの機能に分けられ、西側にあたる正面には交通課、道場など、パブリックな用途、そして東側には事務的な用途が置かれている。東西2つのブロックは内部機能を反映して、構造形式も異なる。西は鉄骨造、東はSRC造が採用されている。
正面の上層部分には、柔剣道場やギャラリーが配置されているため、上に行くほど広がる構造になっている。
屋上は、集会場としても使うために、空調屋外機器は、側面に吊り下げた黒い円筒の中に収められている。
Photo:石丸捷一
建築データ
名称 | 熊本北警察署 |
---|---|
ふりがな | くまもときたけいさつしょ |
所在地 | 熊本市草葉町5-13 |
主要用途 | 警察署 |
事業主体 | 熊本県警察本部 |
設計者 | 篠原一男+太宏設計事務所 |
施工者 | |
建築 | 竹中工務店・増永組・三津野建設共同企業体 |
電気 | 熊栄電設 |
空調 | 九電工 |
衛生 | 三祐工業 |
外構 | 竹中工務店・増永組・三津野建設共同企業体 |
敷地面積 | 6,926平方メートル |
建築面積 | 2,230平方メートル |
延面積 | 8,695平方メートル |
階数 | 地下1階、地上5階 |
構造 | 鉄骨造及び鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造 |
外部仕上 | |
屋根 | アスファルト露出防水、FRP防水 |
外壁 | アルミパネル張、ガラス張 |
施工期間 | 1989年3月~1990年11月 |
総工事費 | 2,521百万円 |
受賞データ
1991年 | 全国警察施設設計コンクール企画賞 |
1993年 | アーキテクチャー・オブ・ザ・イヤー |
建築家プロフィール
篠原 一男(しのはら かずお) | |
1925年 | 静岡県生まれ |
1953年 | 東京工業大学卒業、同学助手 |
1962年 | 東京工業大学助教授 |
1967年 | 「日本建築の空間構成の研究」にて工学博士 |
1970年 | 東京工業大学教授 |
1984年 | イェール大学客員教授 |
1986年 | 東京工業大学名誉教授 ウィーン工科大学客員教授 |
1988年 | アメリカ建築家協会名誉会員 |
2006年 | 没 |
主な作品 白の家、谷川さんの住宅、上原通りの住宅、東京工業大学百年記念館 ほか |
|
受賞歴 | |
1972年 | 日本建築学会賞 |
1989年 | 芸術選奨文部大臣賞 |
1990年 | 紫授褒章 |
1997年 | 毎日芸術賞特別賞 |
2000年 | 勲三等旭日中綬章 |