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美里町林業総合センター
建築概要
熊本県の林業の町の小さな集会場(延520平方メートル)。地元の木材を用いること、および町のシンボルとなる建物をつくること、を求められた。敷地は山の中に造成された丘の上にあり、周囲に運動公園がある。建物はほぼ平屋で、町民の集まりや軽スポーツのための集会室があり、ミニバレーボールのコート2面分の広さがある。そのスペースをすっぽりと覆うように木の不定形な架構を組み、全体をガラスの直方体のなかに納めている。屋外から見ると、山の中腹に大きなブッシュ(茂み)が人工的につくられたように見える。構造は木とスチールの混構造。外壁沿いに軽量鉄骨の柱(60mm×60mm)を1mピッチに並べ、屋内側の格子状の杉材(120mm×210mm)へ力を逃がしている。屋根においても軽量鉄骨を2mグリッドに並べ、その下層に格子状の杉材を45度振って並べて、両者を結んでトラスをつくり、22mスパンを架構した。トラスの上弦材と下弦材を45度振ることで、天井高の必要な箇所のトラスせいを押さえ、その力をトラスせいの大きい他のトラスへ逃し、直下のスペースの必要にあわせた形状としている。またこの建物にはコンクリートを一切使用せず、木とスチールだけで建物をつくり、建材としての木の重要度をアピールしている。
建築データ
名称 | 美里町林業総合センター |
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ふりがな | みさとまちりんぎょうそうごうせんたー |
所在地 | 下益城郡美里町坂貫 |
主要用途 | 研修施設 |
事業主体 | 砥用町(現・美里町) |
設計者 | 西沢大良 |
施工者 | |
建築 | 吉永産業 |
電気 | 九電工 |
敷地面積 | 1,659.00平方メートル |
建築面積 | 415.40平方メートル |
延床面積 | 520.01平方メートル |
階数 | 地上2階 |
構造 | 混構造(木造+鉄骨造) |
外部仕上 | |
屋根 | シート防水仕上げ |
外壁 | 杉板下見貼り、キシラデコール |
施工期間 | 2003年9月~2004年7月 |
総工事費 | 136百万円(浄化槽含む) |
建築家プロフィール
西沢 大良(にしざわ たいら) | |
1964年 | 東京に生まれる |
1987年 | 東京工業大学 卒業 |
1987年~93年 | 入江経一建築設計事務所 勤務 |
1993年~ | 西沢大良建築設計事務所 主宰 |
2004年 | 筑波大学大学院非常勤講師、東京理科大学非常勤講師、東海大学非常勤講師 |
主な作品 立川のハウス、熊谷のハウス、大田のハウス、諏訪のハウス、ショップ・エンデノイ、調布の集合住宅 A、調布の集合住宅 B |
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受賞歴 | |
1995年 | くまもとアートポリスデザイン・コンペティション優秀作品 |
1995年 | SDレビュー'95入選 |
1996年 | SDレビュー'96入選 |
1997年 | 東京建築士会住宅建築賞(立川のハウス) |
1999年 | 東京建築士会住宅建築賞(大田のハウス) |
1999年 | ディスプレイデザイン大賞'99入選(移動する聖地展会場構成) |
2001年 | 東京建築士会住宅建築賞金賞(諏訪のハウス) |
2002年 | 新富弘美術館国際設計競技入選 |
2002年 | 勝山市健康福祉センター公開設計プロポーザル優秀賞 |
2003年 | 鬼石町多目的ホール”屋内広場”公開設計競技優秀賞 |
PHOTO:宮井正樹、KAP事務局