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【5月26日】第7回熊本県・熊本市新型コロナウイルス感染症対策専門家会議後の記者会見
【5月26日】第7回熊本県・熊本市新型コロナウイルス感染症対策専門家会議後 記者会見
馬場座長、蒲島知事、大西市長コメント全文
馬場座長コメント全文
本日の第7回専門家会議では、今後の感染拡大に備えた医療提供体制整備及びワクチン接種状況について議論を行いました。会議としての見解を御報告いたします。
【コロナウイルスの状況】
まず、新型コロナウイルス感染症の状況についてです。
全国的に、4月から感染拡大が起こりましたが、熊本県もこの第4波の中にあります。
第4波がこれまでと大きく異なるのは、変異株中心の感染流行であるという点です。そのため、感染者数の増加率が高く、また重症化率も高くなる傾向があり、医療関係者にはこれまでにない緊張感があります。
政府は、現在熊本県を含む8県にまん延防止等重点措置を、10都道府県に緊急事態宣言を行い、各自治体において強い措置を実施し、感染の抑え込みを図っています。
現在、これらの自治体で取られている対策は、第3波を超える強さのものですが、陽性者の減少に時間がかかっており、変異株対策の困難さが明らかとなっているところです。
熊本県においても、変異株の割合は9割を超えており、感染者数も第3波を超える深刻な状況です。
現在、まん延防止等重点措置による非常に強力な対策を取られており、感染者数はようやく減少の兆しを見せつつあります。
しかし、特に熊本市において医療提供体制の逼迫が進んでおり、医療提供体制の強化が必要な状況です。
【今後の感染拡大に備えた医療提供体制整備について】
そこで、感染拡大に備えた医療提供体制整備について議論を行いました。
年末年始にかけての全国的な感染拡大を受け、今年3月に国から、感染拡大に備えた医療提供体制整備に取り組むよう通知があったことから、「一般医療と両立可能な医療提供体制整備」と、「感染者急増時の緊急的な患者対応整備」を行うことについて説明を受け、これらの切り替えタイミング等について議論しました。
「一般医療と両立可能な医療提供体制整備」については、熊本県では、1月24日に行われた専門家会議を契機に、前もって「医療提供体制の再構築」として体制整備に取り組まれており、「トリアージ基準の徹底」、「入院体制の強化」、「宿泊療養体制の強化」、「自宅療養体制の強化」を進めてこられました。
また、「感染者急増時の緊急的な患者対応整備」については、第3波の経験を踏まえ、1日の最大感染者数を200人を想定し、対応できる水準の緊急時病床を確保するなどの体制整備を進めてきたとの説明を受けました。
平時と緊急時の切り替えについては、「まん延防止等重点措置」の適用状況や、病床使用率を基に判断する案が示され、専門家会議においても適当であると意見が一致しました。
加えて、整備した体制の具体的な運用として、熊本市内においては、ここ数日間の病床使用率が100%前後となっており、危機的な状況であることから、熊本市内の医療機関が確保している緊急時確保病床については、早急に活用することが適当であるとお答えしました。
今回、各医療機関の多大なご努力により、大幅な入院病床の増床が図られました。専門家会議からも、各医療機関に感謝申し上げます。
一方、新型コロナウイルス感染症を地域医療として受け止め、患者の命を最優先に守るためには、それぞれの地域で更なる病床の確保や、病床が確保できない場合でも、後方支援医療機関としての役割を果たすなど、全医療機関が自らの強みを生かし、ワンチームとなり対策を進めていくことが重要との意見で一致しました。
今後、保健所を含む行政機関、郡市医師会、医療機関が連携し、今回強化した医療提供体制をしっかりと運用していくことが重要です。
【ワクチンについて】
また、本日は新型コロナウイルスワクチンの接種体制の対応状況について、
医療従事者向けの接種と高齢者向けのワクチン接種について、説明を受けました。
現状としては、ワクチン接種を迅速に進めることが唯一にして最大の解決法です。県・熊本市においては、今後開始される一般接種において、可能な限り迅速に接種が進められるよう、シミュレーションを行うなどの体制の検討を前もって進めていただきたいと、専門家会議からもお願いしました。
【結び】
今回、国からの通知を契機に医療提供体制の整備について議論を行いましたが、熊本県では先んじて取組みを進められていたこともあり、第4波の非常に大きな波に何とか対応ができている状況と考えます。
医療提供体制をできるだけ拡充し、目詰まりなく機能させることは非常に重要です。しかし、今後、インド株のようにさらに感染性の高いウイルスの流行や、人の動きの活発化などにより、今回拡充したキャパシティを超える流行も起こり得ると考えておく必要があります。
県民・市民の生命を守るためには、先手を打った対策が非常に重要です。県・熊本市においては、ワクチン接種を急ぐとともに、必要な場合は新規感染者を抑え込む更なる強い取組みを躊躇なく実施していただくようお願いします。
現在我々が相手にしている変異株中心の流行は、気を抜くとすぐに再拡大することが懸念され、現状は、全く油断できません。
県民の皆様には、専門家会議からも、御自分と大切な人の生命と健康を守るため、県からの要請に応えるとともに、基本的な感染防止対策を徹底していただきますよう、お願いいたします。
専門家会議座長としての報告は以上です。
蒲島知事コメント全文
ただ今、馬場座長からそれぞれの項目に関する専門家会議の見解について、御紹介いただきました。
本県では、4月下旬から急速に感染が拡大し、それに伴い、医療提供体制も非常に厳しい状況が続いています。
このような中、県では、第3波の経験を踏まえ、これまで、医療提供体制の再構築に取り組んできました。
さらに、厚生労働省からの要請を踏まえ、感染者数の大幅な増加を想定した緊急時の対応として、入院病床の確保をはじめとした、医療提供体制の更なる強化に取り組みました。
その成果として、入院病床の確保については、医療機関等から御協力をいただき、これまでの505床から、最大で714床まで確保いたしました。
御協力いただきました医療機関の皆様には改めて感謝申し上げます。
次に、宿泊療養体制について、受け入れ施設を440室から520室まで確保し、更に700室まで増やすよう調整中です。また、健康管理体制についても強化をいたしました。
さらに、自宅療養体制についても、これまでの2倍に当たる400人まで対応できる体制を整備しました。
本日は、これらの体制整備について御説明した上で、特に危機的な状況にある熊本市内の入院病床の運用について御協議いただきました。
現在、熊本市においては、病床使用率が、100%を前後する状況が続いております。
そのため、熊本市については、今回の入院体制の強化を迅速に適用すべきと判断し、熊本市内の医療機関に対して、緊急時のために確保いただいている病床に、患者さんを受け入れていただくよう要請することについて、専門家会議の委員の皆様に御意見をいただきました。
この要請については、先程、馬場座長からコメントがありましたとおり、専門家会議としても適当であるとの御意見をいただいたところです。
そこで、本日、県から熊本市内の医療機関に対して、緊急時の体制に移行していただくよう要請することといたします。
また、今回の会議では、ワクチンの接種状況についても御説明しました。
委員の方々からは、高齢者の接種だけでなく、一般の方々への接種も短期間で完了できるよう早急に準備を進めていただきたいと御意見をいただきました。
ワクチンは、コロナ対策の切り札と考えています。まずは、市町村、医療機関などと連携し、7月末までに県内全ての高齢者への接種が完了できるよう、全力を尽くします。そして、全ての県民の方々への接種も、できる限り早く完了するよう取り組んで参ります。
大西市長コメント全文
【感染状況】
5月19日から25日の1週間では、新規感染者が256名 確認されており、未だ国分科会ステージ4の基準(185人)を大きく上回っています。
また、市内の病床使用率は、5月22日には100%を超え(100.7%)、昨日(25日)時点でも、98.5%と依然として高水準で推移しています。重症病床においては即応病床で93.5%(確保病床では51.7%)となっており、医療提供 体制は危機的な状況に陥っています。
【会議の概要】
本日の会議では、医療提供体制の整備が議題となり、 「一般医療と両立可能な医療提供体制整備」(平時)と 「感染者急増時の緊急的な患者対応整備」(緊急時)に おける、それぞれの確保病床数が示されました。
この結果、来月1日から、本市の確保病床数が136床から準備病床を含めて180床に増床となります。
さらに、現下の本市の危機的な状況を踏まえ、本市の緊急時における確保病床を可能な限り即応病床に転換する ことが決まりましたので、市内の受入医療機関等に速やかに協力を依頼してまいります。
【本市の対応方針】
本市としては、本日示された方針を踏まえ、入院が必要な方が確実に入院できるよう、県や熊本大学、医療機関等と更に連携を深めながら、医療提供体制の充実に取り組んでまいります。
また、宿泊療養や自宅療養の方が、安心した療養生活を 送ることができるよう、県市連携して看護師等による健康管理体制を強化してまいります。
【医療機関へのお願い】
医療機関の医師や看護師をはじめ医療従事者の皆様には、これまで1年以上の長きにわたり、ご尽力を賜り、この 場をお借りしまして、深く感謝を申し上げます。
今回、更なる病床確保をお願いさせていただくことは、 大変心苦しく思っていますが、市民の命を守るため、何卒ご理解ご協力を賜りますようお願いいたします。
【市民へのお願い】
また、これ以上の医療提供体制の逼迫を防ぐためには、 新たな感染者を増やさないことが第一です。
市民の皆様には、改めて感染防止対策の徹底にご協力を お願いします。私からは以上です。