本文
令和6年8月8日(木曜日)10時00分~
日時:令和6年(2024年)8月8日(木曜日) 10時00分から
場所:知事応接室
会見録
知事定例記者会見の会見録や資料等を掲載しています。
なお、知事の発言の趣旨を損なわない程度に読みやすいよう整理しています。
発表項目・コメント
・本県の新型コロナウイルスの感染状況について
・経済交流の拡大に向けた台湾訪問について
・熊本県・熊本市調整会議の開催について
・「くまもとで働こう」推進本部 及び 熊本県外国人材との共生推進本部 の設置について
質疑応答
1熊本県外国人材との共生推進本部について(1)
2熊本県外国人材との共生推進本部について(2)
3台湾訪問について(1)
4台湾訪問について(2)
5サイエンスパークについて(1)
6「くまもとで働こう」推進本部について(1)
7熊本県外国人材との共生推進本部について(3)
8台湾訪問について(3)
9各種推進本部について
10「くまもとで働こう」推進本部について(2)
11公務員の離職について
12台湾訪問について(4)
13台湾訪問について(5)
14サイエンスパークについて(2)
15熊本県外国人材との共生推進本部について(4)
16台湾訪問について(6)
17選挙ポスターについて
18TSMC第3工場誘致について
19熊本県外国人材との共生推進本部について(5)
20水俣病問題について(1)
21水俣病問題について(2)
新型コロナの状況でございますが、一応、県として山は越えたという感じはあるんですけれども、それでも一定点あたり先週も19.71人ということで、2週連続で減少しておりますけれども、全国的な流れは、まだ高い水準にあります。
これ(全国上位10都道府県)は前週(先々週)のものです。先週の分は明日の午後に発表されます。
お盆の時期を迎えまして、人と会う機会が増加します。
引き続き、基本的な感染対策の徹底をお願いします。
エアコンをつけていても、定期的な換気をしていただくこと。
手洗いや手指消毒、うがいなどを徹底していただく。
また、混雑する場所または高齢者施設などに行く時には、マスクを着用してください。熱中症にも御注意ください。
前回の記者会見でも多少触れましたけれども、8月25日から27日に台湾を訪問させていただきます。
県議会の山口議長と経済界の代表の方と一緒に、熊本県と関係の深いところを訪問したいと思っております。
TSMC本社、これはITRI(イトリ)といいますけれども工業技術研究院、そして新竹のサイエンスパーク管理局などを回りますし、事情があって(県との協定締結が)延期になりましたけれども、翌日には台湾最大の金融機関であります、中國信託フィナンシャルホールディングを訪問して参りたいと思っております。
中國信託フィナンシャルホールディング、通称CTBCと言いますけれども、こちらとは後日、台湾に行く前に、できれば包括協定を結びたいと思っております。
なお、今回はごく少人数のメンバーで、私が理想とするシャトル外交、つまり蒲島さんのときの100人ぐらいの大訪問団で行くようなものではなくて、小人数で頻繁に行くということを考えております。
まず今回は、経済界のメンバーとTSMC本社などを訪問したいと思っております。
熊本県・熊本市調整会議を、8月19日に開催いたします。
先月行いました大西市長とのトップ会談を踏まえました、熊本都市圏の交通渋滞対策、それと、今一番の懸案の一つであります、地下水保全対策の2つをベースに協議します。
また、議題とは別に、秋に行われます世界津波の日(2024)高校生サミットin熊本、そしてぼうさいこくたい(防災推進国民大会2024)の報告を予定しております。
それぞれのテーマについて、熊本市と連携を深めてやって参りますが、報道の皆さんにはお願いがあります。
この会議は基本フルオープンでやりますけれども、終わった後、この津波の日(2024)高校サミット(in熊本)の高校生6人が、ブリーフィングを経験いたしますので、ぜひ記者の皆さんからもいろいろ質問してください。お願いいたします。
いろいろな推進本部を立ち上げているんですけれども、5月に地下水、そして、こどもまんなか、あと渋滞解消という3つの本部を立ち上げましたけれども、私が今、熊本の非常に大きな課題であります、もう2つのテーマについて、この夏に推進本部を立ち上げることとしておりますのでご報告です。
一つ目が、「くまもとで働こう」推進本部ということで、分かりやすくいえば、県内のあらゆる産業界で、今、人材不足が深刻化しています。当然、人材不足の深刻化は、子どもの数が少ないという問題もあるんですけれども、それは、「こどもまんなか熊本」推進本部などで議論するといたしまして、色々な人材を育成・確保するための方策が他にもあるだろうということを議論する場として、「くまもとで働こう」推進本部を8月20日に立ち上げます。
二つ目が、熊本県外国人材との共生推進本部ということで、これは私の選挙期間中からずっと言っている、海外、外国人労働者、外国人材に選ばれる熊本にしない限り、熊本の未来は無いと思っています。
そのためにも、多文化共生ですとか、外国人材の受け入れ、環境整備などについての全庁的な本部を立ち上げたいと思っております。それが(第1回本部会議は)9月3日です。
これらにより、県内の人材不足の解消ですとか、外国人材を含めた安心・安全な熊本を作ること、そして、世界に開かれた熊本(を創る)ということで、さらなる熊本の発展につなげていきたいという思いで、この本部を立ち上げるものでございます。
幹事社
私からは一点、先ほど言われました外国人材との共生推進本部についてお伺いいたします。
まず、今このタイミングで、こうした本部を設置し、取り組む、全体的な狙いについて改めてお伺いいたします。
木村知事
先日も報道等でありましたが、熊本県の外国人住民の数の上昇率が全国一だったということがございます。
(以前の外国人住民の)数が東京とか福岡とかに比べて少ない点もあるかもしれませんけれども、こうした形で、外国人労働者など、熊本に暮らす外国人材が増えていく中で、その方々にとって喜ばれる熊本、選ばれる熊本にしない限り、熊本の発展は無いというところから、外国人材との共生推進本部を立ち上げるに至った次第です。
幹事社
加えてなんですけれども、外国人材でいいますと、今年6月に国の戦略特区、地域課題解決連携特区に指定されていますが、これとの関連性というか、何かあるでしょうか。
木村知事
それはそんなに(関連性が)多くはないといいますか、“絆”特区につきましては、外国人材を受け入れるにあたって、いわゆる入国審査の手続きを県が代行する(ものです)。その中でも、特に熊本県内、日本国内側の審査を、法務省出入国管理局が個別に審査するのではなくて、県が代行して受け入れる企業を審査するという手続きです。
むしろ、今、熊本にとって、外国人材の受け入れは社会にとって欠かせないものだという中で、私の思いを申し上げさせていただきますと、熊本では、例えば、農業分野の外国人技能実習生について、ベトナムから受け入れた女性の技能実習生が、いわゆる子供を妊娠したら国に帰されるという恐れの中で、悲しいことではありますけれども、それを隠して出産し、子供を死産させてしまった。そのことが罪に問われて、最高裁までいって無罪になったという事案がありました。
私はこの事案と、TSMCによる外国人材の熊本への流入というのは、ある意味でコインの裏表というか、同じ話で議論を進めるべきだと(考えています)。
海外から来た人が、熊本で不幸な思いをして帰るということは、絶対避けなければいけないと(思います)。
そうした中で、全庁的、全県的に(県内全体で)、外国人材を受け入れる際の課題は何か、やるべきことは何かについて議論していきたい。
ただ、これにつきましては、渋滞とか地下水に比べて、ちょっと各問題が複雑といいますか、さまざまな課題がありますので、事前の準備を市町村も含めて、特にこの外国人材との共生推進本部は、いろいろ下勉強をしていましたので、それで(他の推進本部の設置から)ちょっと遅れたかたちで立ち上げます。
ただ、これは熊本にとって、とても大事な課題だと思って(います)。そして、各部局を超えて(取り組む)必要がある課題がある。外国人材であれば農業、介護、建設業、さまざまなところで、また留学生、または高度人材、いろいろなかたちで入ってきます。そうしたところで、各分野を超えて、部局を超えてやる課題があるということで、本部を立ち上げるに至ったということでございます。
幹事社
台湾の訪問についてお伺いいたします。改めて訪問がどういう経緯で決まったのかということと、知事として何か伝えたいこととか、どういった意見交換をされるのか、あとどういった方に会われるかというのを言える範囲でお願いいたします。
木村知事
会う相手は、実はまだ確定的ではなく、特にTSMCについては最終的(にお会いする方が決まっているもの)ではありません。
それぞれ会うメンバーが決まり次第、またご報告をさせていただきたいと思っています。
まずもって、私はまだ知事に就任して以来、一度も台湾を訪れていない。また、正確に申し上げれば、副知事としての間も一度も台湾は訪れていません。私は常に、前の知事や当時もう一人おられた副知事が、いろいろ出かけていく際の下打ち合わせというか、下支えをずっとやっていました。ただ、オンラインではTSMC含め、色々な幹部の方と会っていましたし、日本国内では会っているんですが、実際台湾に行ってお話したことがないものですから、知事に就任した以上、知事の就任報告と、そしてこれからも日台、また熊本と台湾の友好をしっかりと私が進めていくんだ、ということを、熊本と関係の深い方々にしっかりと印象付けて、信頼関係を作っていきたいというのが、今回の最大の目的であります。
Q
TSMCに関してなんですけれども、こちらの訪問のときに、第3工場の誘致、その意欲について伝える意向はございますでしょうか。
木村知事
はい。第3工場の誘致への意欲は伝えます。
また、それに向けて、6月の株主総会か、決算報告だったかと思いますが、最高経営責任者の魏哲家(シーシー・ウェイ)さんが申し上げた、第1、第2工場が円滑に進むこと、そして地元の受け入れ体制が進むことということで、県として、第1、第2が今、順調に進んでいること、また周辺の道路や排水、下水道などの環境整備に向けた準備をこういう風に整えているということを説明することで、意欲を示したいと思っております。
Q
もう一点、TSMC本社以外の工業技術研究院や(新竹)サイエンスパーク、中國信託フィナンシャルグループ(ホールディング)を訪ねる狙いみたいなところを教えてください。
木村知事
はい。(新竹)サイエンスパークにつきましては、私もマニフェストの中で、熊本版サイエンスパーク構想みたいなものを掲げさせていただいています。
工場を誘致するだけではなくて、工場の周りに様々な産業や可能ならば研究機関なども入って、そしてそこに従業員が暮らして新たな街みたいなのができていく構想を掲げて、今、いろいろ県庁内部でも、頭合わせをしております。
ですので、例えば、新竹サイエンスパークがどういう形で運営されているのか、そして、特に台湾の工業技術研究院であるITRI(イトリ)が、実際サイエンスパーク内での企業と研究機関または大学とのマッチングに協力していますので、どういう形でこのサイエンスパークが作られていっているのかを学んできたいと思っております。
Q
二つの推進本部についてもう少し伺いたいんですけれども、「くまもとで働こう」推進本部の方なんですが、これはどれくらいの年代の方を想定しているとか、どういうケースを改善するために取り組まれるのかというイメージをもうちょっと教えていただいてもいいでしょうか。
木村知事
はい。正直申し上げて、あらゆるパターンと思っています。
ただ、子どもの数が少ないからそれをどうしましょうという議論は、ここでは扱いません。
ただ、一方で、若年層のことで申し上げれば、熊本県は、県内の高校を卒業した方の県内就職率というのが全国ワースト5位、以前はワースト3位ぐらいなんですけれども、それでも少し改善してきたんですけれども、非常に低い状況にある。愛知県が9割ぐらいなのに対してうちは6割台だったと思います。
なぜ、そういうことが起きるのか。学校現場と企業の間でのマッチングが上手くいっていないんじゃないか。または、そういうところから、逆にシニア層とか、今、企業で働いている人たちが、例えば新しい分野にチャレンジする際のリスキリングとか、学び直しみたいな場が熊本に不十分かどうか。これは逆に今働いている人たちのことですよね。
そうした様々な課題、各業界のニーズというのが、県の部局ではそれぞれ介護なら(健康)福祉部、建設業なら土木部、ものづくりなら商工(労働)部がそれぞれ持っているけれども、それを教育委員会とか、またはリスキリングだったら商工(労働部)の中でも労働雇用(創生課)だったり、いろんなところがあるわけで、両方の変数を貫いていかなければいけないというところで、こういう本部を立ち上げたいということでございます。
Q
もう一つの外国人材の、先ほど下勉強を少しずつされていたということなんですけれども、具体的に今、例えばどこが課題だというお考えかということと、先ほどベトナム人の方の事例も挙げられましたけれども、例えばこういう事態を防ぐために、どんなことを検討されるという部分、今の時点のお考えを教えてください。
木村知事
何せこれからの話ばかりでございます。
外国人材も来る国別によって、これからデータを整理して、9月頭の会議でお話しますけれども、国別によって全然来る職種が違ったりしています。
ある国は留学生が多い。ある国は特定技能が多い。ある国は…とか、そういうのがあります。
そういうのに応じた対応をする必要があるだろう。そして課題については、それぞれ様々あります。
そうしたなかで、先ほどの本当に私にとっての、知事になるにあたっての、すごく大事な問題の一つであった、例の農業分野の外国人技能実習生の事件の話で申し上げれば、受け入れ機関とか送り出し機関という、外国人材を受け入れるにあたっての間に入る組織をどういう風に私たち、県がどこまで(チェックやフォローを)できるかというのをギリギリまで追い詰めていかなきゃいけないんですけれども、どういう形で受け入れ機関とかのまともさ(適正)というか、受入れ機関を通じて外国人材は熊本県なり日本に入ってくるんですけれども、そこの人たちがちゃんとフォローできるか。
外国人の子たちを、自分たちを通してお金をもらって仲介している業者が、そういうのはどう県がそこにチェックすることができるか。
なかなかそれは、まだ私の問題意識なので、担当部局がどこまでそれができるかというのは、まだ今頑張っているような気がするんですけれども、ともかくそういう課題がまだまだいっぱいあるということが分かっています。
そういうのを解決していきたいと思っています。
Q
細かいことで2つ伺いたいんですけれども、TSMCに第3工場の誘致意欲を直接示すのは、初めてなのかということが一つと、
もう一つが先ほどの2つの推進本部の話がありましたけれども、働く人材を集めるというのは、これは国内を対象にしているのか、海外も含めて対象にしているのか、その二つをお願いします。
木村知事
前者の、まずTSMCに直接伝える(第3工場に対する意欲を示す)のは初めてです。
私自身がオンラインミーティングなどでも、まだ第3工場のことを明確に言ったことはありません。
実際、オンラインミーティングは今(担当課レベルで)順調に進んでいるので、知事自らが出ていることは就任後ないです。 今、担当課レベルでやっていますので。
実際、TSMC側に私が直接伝えるのは初めてになります。
二点目の、人材の確保については、まず「くまもとで働こう」(推進本部)は、国内、いわゆる日本人というか、国内に在住している方々をどうするかというのがメインになってくると思っています。
外国人材の受入れは、先ほどの外国人材(との共生推進)本部の中の、人材受入れのセクションで考えていくというかたちでやっていきます。
Q
推進本部について一点質問です。
今まで立ち上がっている三つの推進本部は知事でしたり担当部局のトップが集まる会議で、その下に担当課だったりとか、関係市町村での議論の場もあるかと思うんですけれども、今回設置する二つの推進本部も同様の運用になるのかというところと、場合によっては例えば、外国人材の受入れ機関、送り出し機関だったりとか、他の市町村というところも議論に加わってもらう必要もあるのかなと考えているんですが、県庁以外の組織との入り方というか、そういったところはどういうふうに想定していますか。
木村知事
はい。「くまもとで働こう」(推進本部)については基本県庁内(の関係部局)でやるつもりですけれども、外国人材との共生推進本部の中に多文化共生推進幹事会と、外国人材受入幹事会と、二つを設けていこうと思っています。
多文化共生の方(幹事会)について、まず市町村ですとか、受入れのサポートをするような方々をオブザーバーで入れていきたいと思っています。(本日は会見場に)担当課長が来ていますので、後で(会見が)終わったら聞いていただければと思います。
また、外国人材受入幹事会やその他の分野で市町村側のニーズがあれば、オブザーバーは広げていきたいと思うんですけれども、まず、多文化共生は、実際最後は住民の方とどう接触していくか、というところなので、一番肝心なのは市町村だと思っています。
熊本県外国人材との共生推進本部の多文化共生の幹事会には市町村にしっかり入ってきていただきたいですし、今までもこの件では市町村と打ち合わせをしております。
Q
「くまもとで働こう」推進本部では、県内の方の、県内の定着と人材育成などがあるという話だけれども、移住・定住という観点でもあるという話でよろしいでしょうか。
木村知事
基本は、まず県内の企業ないしはいろいろな事業者さんの人材不足感、またはどういう人材が不足して、どういう形で、というところからメインに入っていきます。
ですので、移住・定住については別途、本部というか推進体制がありますので、そちらとはどう連携していくかということですので、当然ですけれども「くまもとで働こう」(推進本部)という中に、県外で例えば就職フェアをやるのをどうしたらいいかとか、県外にある、例えばものづくりの関係であれば技術系の大学とか専門学校とどう連携していこうというような議論にはなろうかと思っていますが、移住・定住というよりも、まずはそういう人材確保というところでの県外からのこと(人材確保)は話題の一つにはなろうかと思っています。
Q
私は5月にですね、全国で公務員の離職が増えている件で質問させていただいたんですけど、過去9年間の熊本県のデータで職員の離職率については、一般行政職で3倍、知事部局だけでも2倍以上になっている状況にあると。
このことについて、知事からもコメントをいただいたんですけども、しんどくて辞める実態があれば、それを踏まえて丁寧に対応したい、ということでしたが、改めて今の考え方についてお示しいただけますか。
木村知事
はい、またちょっと3倍、2倍のデータを基にどうすべきかというのは、人事課ないしは、関係者と相談していきたいと思っています。
本当にしんどくて辞める人が多いのであれば、そこは丁寧に対応していかなければならないし、その原因は何かをしっかりと検討していきたいと思っています。
それ以降、そのテーマを議論していないところもありましたので(今一度、人事課等の関係者と相談していきたいと思っています)。
ただ、一方で最近の若手職員の県職員、民間企業も含めて、終身雇用というよりも、都度都度でキャリアアップを考えていきたい、という(人もいる)。
県庁の中でも私が仲いい、右腕のような子が辞めて、最近イケイケの民間企業に移って、知事になって、当選したらそいつがいなかったっていう、ショックな事案があったんですけれども。
ショックというかそれはそれで、彼の場合は、今まで県庁でやってきた中で、やっぱりよりこの課題を自分自身が民間のプレーヤーになって解決したいっていうふうに今飛び込んでいったので、そういう事案は、応援してあげるのも、筋がいいんじゃないかなと思っています。
あともう1つは、またこれからの課題で私が勝手に出したら、人事課が嫌がるかもしれませんけど、やはり、多様な採用というのを進めていかなければいけない(と思います)。
やっぱりその、学卒新採だけではなくて、民間企業の経験者とか、または一旦、辞めた人がいろいろ事情があってまた県庁に戻りたいって言ったら、そういう方ももちろんまた入りなおさなきゃいけないんですけど一体退職するわけですから、そういう柔軟な採用システムに変えていく必要がある。
そういうことによって、仮に辞める人、特にプラスの意味で辞める人が多くなってもそれはよしとする県庁にしていかなきゃいけないですね。ただ、マイナスの意味での、やっぱりやめるっていうことについては、もう少し真剣に対応していかなければいけないと思います。ちょっとそこはこれから検討させてください。
Q
戻ってきていただくとか、新しく入るっていうためには、やっぱり魅力のある職場環境にしないといけないということでしょうか。
木村知事
そうです。それがやはり風通しの良い職場だと思っています。私は、いつも行政職・公務員は楽しいと思っています。
もちろん困難な課題はいっぱい、本県のみならず日本中あるわけですけれども、ただやはり一方で、人々の幸せに直結することができるというのは、幸せなことと思いますので。
ともかくそういう形で、公務員、また県職員の魅力を伝えていく努力をこれからも欠かせないようにしますし、やっぱり職場内に起きている何か不都合があれば、それに的確に向き合っていきたいと思っております。
Q
第3工場の意欲を伝えるということについてですけれども、県内では今、県北を中心に農家の方々の農地不足などを伝える声もあります。そうした課題がいろいろとできている最中で第3工場の意思を伝えるということの県内でのバランスといいますか、その辺はどのように考えていますか。
木村知事
第3工場の誘致にあたって、TSMCのCEOの魏哲家(シーシー・ウェイ)さんが地元の理解ということも条件の一つにおっしゃられました。地元が第3工場はいらないというような空気であれば、なかなか難しいと思っています。
ただ、一方で企業の投資というのは先を見据えて動いていきますので、第2工場が仮に3年後できて、第3工場は3年後から作り出して6年後ぐらいに、今の単純な発想でいくとした時に、3年後の意思決定に向けて、3年後のスタートに向けて、多分2年後ぐらいまでには意思決定がされると思いますので、それに向けて県としてはこういう動きをしていきますよということは、向こうにお示しする必要がある。
一方で、それより大事なのは県民の皆さんに向けて、例えば渋滞問題、または地下水の保全、排水対策がしっかり進んでいくということを見せていくことだと思っていますので、これは並行して取り組んでいきたいと思っております。
それがすべて完了してからじゃないと手を挙げられないとなると、多分チャンスを逃してしまうと思いますので、そこは並行して、県民の皆さんに具体的なものをしっかり出していくという努力を欠かさずやっていきたいと思います。
Q
ということは、まだ何か具体的にこういったところが準備ありますとかということではなくて、まずは意思をお伝えするという段階ですか。
木村知事
特に土地を用意していますとか言うことは全くございません。
県として、今、そういう用地は県有地を含めて財産はございません。
ただ、地元の受け入れという、地元の理解にあたっては、地下水や排水の件、または交通インフラの件を心配されているといいますか、TSMC、JASMサイドからも何とかしてくれ、特に渋滞については、私どもも日々伺っていますので、それは当然本社の方にも入っていると思いますから、それに対してこれから10年間ぐらいでこんな投資をしていきますよというのを、これも県民の皆さんにはお示ししていますけれども、これがどれだけ本社のトップにまで届いているかというと、分からないところもありますので、そういったところをしっかり訴えていきたいと思っています。
Q
TSMCの件ですけれども、出ていたら恐縮なんですけれども、どなたに会うとかは、今、決まっていらっしゃるんでしょうか。
木村知事
それはまだ、未確定です。
最高幹部のどなたかに会えればいいと私は思っていますけれども、まだ向こうとの調整中であり、未定です。ただ、誰かには会わせますということは言っておられます。
Q
誰かというのは最高幹部の方という認識でよろしいですか。
木村知事
はい。
Q
一部報道で、台湾の政府の中で九州内にサイエンスパークをというような報道もあるんですけれども、政府、行政のほうに面会を求めるということはあるのでしょうか。
木村知事
行政府についてはまだ何とも言えない。
何とも言えないというのは、今のところ何も決まっていない状況です。
私どもとしては、まず、実際に台湾でやっておられる(サイエンスパークを管理されている方々にお会いしたいと思っています。)サイエンスパーク、この管理局というのは国の機関なので、そういう意味では政府の人とは会うということにはなっていますけれども、そういうことだと思っています。まだそれ以外のことは決まっていません。
Q
外国人材との共生推進本部について質問です。主な共通事項として受け入れ環境の整備というところと、優良事例の掘り起こしと横展開というのが書いてありますけれども、受け入れ環境の整備、具体的なところを何点かお示しいただければというところと、優良事例の掘り起こしと横展開というのはどういった意味でしょうかというところで教えていただきたいです。
木村知事
(会見が)終わった後、担当課長、(観光)国際(政策)課長がおりますので、聞いていただければと思いますけれども、上手くいっている事例もあります。
手続きをどういう風に地元がサポートしてやっているとか、または地元の方でしっかりと市町村がフォローしてやっている事例とか(を掘り起こして、横展開していく)ということをやろうと思っています。
課題は先ほど言ったように、受け入れ機関の適正化、または、送り出し機関の適正化をどう見極めるかとか、そうしたところなので、これはまだ先の話なので、もう少ししてから伺っていただけるとありがたいと思います。
Q
台湾訪問の件でもう一点だけ、サイエンスパークとかTSMCの訪問の狙いというのはなんとなく分かりました。27日の中國信託フィナンシャルホールディングへの訪問、この狙いについて教えてください。
木村知事
はい。中國信託フィナンシャルホールディング、CTBCというのは台湾最大の銀行でして、傘下に東京スター銀行を抱えていて、もう一つは、いわゆる友好関係でいくとFFG(ふくおかフィナンシャルグループ)と友好関係を持っている金融機関です。
ですので、東京スター銀行は、今、熊本にオフィスを構えて、台湾関係のビジネスもいっぱいやられているという中で、このCTBCグループと熊本がより深く結びつくことによって、熊本県内での投資、台湾からの投資の受け入れ、または熊本の企業が台湾に進出するにあたってのさまざまなサポートが期待できます。
企業が海外展開を図るうえでの最大の悩みは、お金がちゃんと決済できるかというところだと思いますので、ぜひこのCTBCさんと関係を深くしてやっていきたいという思いで今回動いております。
Q
今日の発表項目とは関係ないものなんですけれども、先日の都知事選の選挙ポスター問題で、弊社が行なったアンケートで、木村知事は公選法の改正が必要という考えを示されていたと思います。
そちらについて詳しく伺いたいのと、あと鳥取県の知事が条例で選挙ポスターの規制を行うような考え、条例を作るような考えを示されました。同様の考えがあるのか、伺わせてください。
木村知事
はい。ポスターについては、今回の都知事選では異様な状況だったと私は思っています。
私も昔、総務省の選挙部にいた人間として、ポスター掲示板のコーナーが取引の対象になるなんていう、今まで想定もしたことなかったような事態でした。
ただ一方で、私はアンケートに「表現の自由にかなり配慮する」ようなもの(と回答)もしました。
現行法でもっとできると僕は思っているんです。
ポスターでいけば、公選法の何条だったっけ、選挙運動のためのポスターしか貼っちゃいけないはずなんですよ。
ですから、これは私なりの解釈です。解釈っていろいろありますけれども、私なりの理解では、そもそも今の売買するやつは取り締まれると思っているんですけれども、規定上、明確に読めないとかいろいろあるのかもしれませんから、改正するべきところは改正したほうがいいんじゃないですかと(思っています)。その都度改正してきたことが公職選挙法の歴史でもありますので、そういう意味での改正が必要と申し上げました。
鳥取県が条例でやるという話も、報道で耳にはしましたし、私も昔、鳥取県にいたこともありますので、「あの県らしいな」という感じでいます。何かやりたいという思いでやっているんでしょうけれども、ただ、まず直近にそういう県議選とか大きなのがあるわけでもないなかで、まず私たちとしては、法律において、多分一番近くにあるのは国政選挙が大きいので、ぜひそこはしっかりやってほしいという思いでおります。
県独自で条例を作るというところまでは、わざわざ法律の横出しをやる、しかも違法したら、場合によっては罰則が、法令にはあるのに条例にはないというのも変てこですし、そこは県としては慎重にやってしかるべきだと思っています。
Q
先ほど魏哲家(シーシー・ウェイ)さんの発言の受け止めについて、知事お話になったと思うんですけれども、受入れ体制、県民の理解、地元の理解というところなんですが、確認なんですけれども、これは渋滞解消とか地下水問題とかということを含めて県民の理解が進むことというふうに知事は理解されているということでしょうか。
木村知事
はい。これはまだ魏哲家(シーシー・ウェイ)ご本人とお話ししていないので、特に第1、第2工場が順調に進むことと地元の理解という二点を挙げて、二点目が何を指すのかというのが、地元というのが県民のことなのか、JASMの従業員とかのことなのかよく分からないところがあります。けれども、県民にとって喜ばれない企業を無理やり誘致するというのは、県知事として正しい選択とは思っておりませんので、私がよく言う、目に見える不満と見えない不安、いわゆる渋滞の解消と地下水保全、排水対策をしっかりやること、これが必要なんじゃないか、それについての、一定の県民の理解、また、それが進んでいるという、感覚を、県民が持っていただくということが、第3工場の誘致に向けて私たちが本気で動くためにも必要なことだと思っています。
Q
その場合、先ほど意思決定に向けては今後2年ぐらいじゃないかという推測についてもお話になりましたけれども、地下水とか渋滞って今後2年で何か結果が出るようなものでもないようにも思いますし、そこは矛盾してくることはないんでしょうか。
木村知事
私はそうではない(矛盾しない)と思っています。
例えば、地下水であれば、地下水を取水する量を増やさないために表流水である竜門ダムを水源とする有明工業用水道の未利用水を使ったりとかいうこともそうですし、または、TSMCないしは半導体企業の方が、より再生水なり内部の循環を高めるという工夫が見えてくれば、それも県民の理解につながるでしょう。
ただそれが全部出揃ってからというよりも、それが工場が実際できるであろう3年後なり5年後なりにはできていますよということで話が進めば、私は矛盾することではないと思います。その方向性を打ち出して、実際、もし第3工場が誘致できたとして、それが稼働したとしても、環境や渋滞に負荷がかからないというある程度の見込みが立てば、私は、県民の理解が得られると思っています。
Q
外国人材との共生推進本部の受入れ(幹事会について)です。今、いろいろ国も法整備をして、法も改正になったと思うんですけれど、受入れ機関との問題とかそういう国との関係が極めて重要だと思うんですけれど、現行法、また法律が改正されますけれども、具体的になにか不備とか、知事としてちょっとおかしいというような点はあるんでしょうか。
木村知事
法律は、やはり育成就労制度の外国人労働者が例えば、何年やれば本人意向の転籍が可能になりますとか、外国人の基本的な人権的なところでの配慮もしっかり法律の中で明確になっています。
ただ、私が先ほど申し上げたのが、一つはやはり送出し機関とか受入れ機関の質の担保とかですね。また、地域での共生活動に対しては別に法律は何にも(無い)。
当該外国人の技能のランクと在留資格がどれくらい延びるかとか、そういう話ですので、私たちは地方として外国人材を受け入れる際の環境づくりというのは、やはり県としてもやっていかなければいけないという思いが強いので、今回本部を立ち上げたということでございます。
Q
知事の思いはすごくよく分かります。たしかに法律で受け入れ機関の問題がさまざま指摘されて、今後改善されると思うんですが、具体的にちょっとふわっとした感じでよく分からないんですけど、どういう。例えば、農業人材を受けるには、どういうふうに今後県としてやるべきかとお考えでしょうか。
木村知事
そこがまさにこれからこの場(外国人材との共生推進本部)で議論をしていくということになろうかと思っています。そこは、なかなか記事に出しにくいかもしれないので申し訳ないんですけれども、やはり先ほど申し上げた、繰り返しですけれども農業の技能実習生が悪いということではないんですよ。技能実習がなければ農業のみならず介護も建設業も、どこも日本の、熊本の経済は、成り立たないという前提の中で、先般あったベトナム人女性の話でいけば、やはり受け入れる側の受入れ機関と当該事業主さん、雇用主さんとの間で、うまくコミュニケーションがとれたようには私ももうちょっとこの事案を深掘りしなければいけないのですが、私が見ている限りはやはりかわいそうな状況に当該技能実習生が置かれてしまっていたのではないかという思いが強くあります。
そうした時に、ではどういう風に県や市町村が、その受入れ機関が(機能するよう管理や指導をするのか)、しかもその受入れ機関は県外にあったんですね。
それを受け入れていたというのが実態ですから、なかなか県の管理というか、指導的なものが届かない。
法律上、もちろん無いんですけれども、法務省の管轄なので。そういうところをもう少し丁寧に県としてできることはないだろうか、というところで、そういう外国人を例えば支援するNPOの人たちに入っていただくとか、そういう中間的なプレイヤーの人にも入ってもらうことができないかとかいうのが一つの方向性として(担当課に)今投げかけている。
つまり、それがちょっと、正しい答えかどうかも私はまだ分かっていませんので、そこをしっかりこの本部で揉んでいきたい議題の一つだと思っています。
Q
あと、高度人材と実際の労働的な部分での働き手というのは、また、非常にニュアンスが違うし、担当する部局も違う。
あとは熊本で働くのもちょっと違うような気がするんですけど、そこはあえて連携してやる。
特に農業面でもやはり人材確保に生かされるんでしょうか。
木村知事
農業においては、海外からの人材は、絶対必要だと私は思っています。
それを、ともかく不幸なことが起きない、また、農業のみならずそういう高度人材が無いところで、結局は最後、お金で動いてしまう可能性があります。
やっぱり日本が今、こういう円安の状況の中で、または、他の先進国と取り合いになるときに、例えば、賃金は安くても、日本は、熊本は環境がいいから行くよね、という面も無いわけじゃないんですね。
いろいろな、私たちが見ている外国人の中でも、例えば介護施設は、受け入れがいいから、という(理由)で、必ず派遣するというところがあるんですね。
そういうの(事例)を一個でも(多く)作っていきたい。それは特に農業の中だからこそできていく。
各農家の方も孤立しないようにしたい。そういう思いで今考えています。
Q
先日の、水俣病の熊本県懇談の件ですが、熊本県に、団体側から「いつまで、県の姿勢としてですね、いつまで裁判を続けて、どう収束させていくつもりなのか」と県の姿勢を問われる局面がありました。
改めて、木村知事の思いを教えてください。
木村知事
やはり、裁判というのは、丁寧かつ迅速に、主張すべきことは主張しながら、どうしても争わざるを得ないから裁判になっているわけでして、いわゆる認定基準の方の話、一方で「ノーモア野間」のようないわゆる特措法の非該当と言いますか、申請できなかった方の話、その双方において、係争中のものにおいては、なるべく早く言うべきことをお互いに言って、結論を出していって欲しいと思っています。
Q
それは、懇談の中でも「できることをやっていくのが知事の使命。一歩ずつでも前に進んでいきたい」と仰っていましたが、それは今も変わりませんか。
木村知事
はい。裁判で争われているものについては当然、司法の、裁判所の中で、裁判官の訴訟指揮の下で原告と被告という形でいるわけなんですけれども、それ以外のところで、患者・被害者、様々な方々が抱えている課題に、制度を見直してでも応じられるものについては、例えば今、来年度の国の概算要求に向けて、実務者協議を、敢えて、県も促して動いているように、やれることは一つでもやっていきたいと思っております。
そのうえで、裁判は裁判ということで(対応していく)。まずはできることを全力でやっていきたい。そのために、実務者協議をこれからも重ねていきたいと思います。
Q
今の水俣病の件なんですけれども、日曜の懇談でも知事が「最高裁の判決を最大限尊重して」とおっしゃってるんですが、最高裁の判決はいくつかあります。どの判決のどの部分について、おっしゃっているのか、その辺をちょっと説明していただきたい。
木村知事
はい。最高裁の判決って基本、そんなに私は変わっているとは思っていませんので、平成25年の最高裁判決、または最近でいけば令和4年3月の最高裁判決は、結局、福岡高裁の判決が確定したという意味での最高裁の決定ですけれども、やはり一定の症候の組み合わせがあった場合には水俣病と認めるという、昭和52年の判断条件が、迅速かつ適切な判断を行う上で合理性を有するということ、それと症候の組み合わせが認められない場合については、総合的に検討した上で具体的に判断していくこと、ということについては、曝露と症候の因果関係とか、その総合検討にあたっては現在における一般的な医学的知見を前提とするという、平成25年4月の最高裁判決と、令和4年3月に確定した判決についてっていうことにおいて、今のいわゆる昭和52年基準と言われるものと、それに基づく、または、平成25年の最高裁判決を踏まえた総合的検討の平成26年の通知による判断が認められている、という風に思っております。
Q
平成25年というのは、2013年なんですかね。
木村知事
はい、そうです。
Q
総合的判断をすれば、感覚障害だけでも認定できるという、そういう判断だったと思うんですが、それによれば、今の認定基準というのは、本当にそうなんですか、という風になってしまうんじゃないかなと。
確かに2022年(令和4年)の上告棄却の福岡高裁確定の部分は、因果関係が明らかでないというのが8人の方に対する判断だったんですけど、最高裁の「最大限尊重する」ということで言えばですね、2013年(平成25年)の感覚障害だけでも認定できるという部分に重きを置いてもいいんじゃないかなと。
知事もいつも患者の方々に寄り添ってというようなことを仰ってますけれども。
そういう意味で言えば、この2013年(平成25年)の判断というのは、重きを置いてもいいんじゃないかなという風に思いますが、その辺いかがでしょうか。
木村知事
個別の事案の判定にあたってのところは、水俣病審査課に問い合わせいただきたいところであります。判決を全部細かく読んでるわけではないものですから。
ただ、そうは言っても平成25年の最高裁判決を踏まえたところの平成26年通知を踏まえたところでの令和4年の判決も、完全に症候の組み合わせが認められない場合、組み合わせがない場合を排除して(認定審査を行うわけ)ではなくて、それを認めた中で因果関係がないっていうことだったと思いますので、私はちょっとその個別の事案にはこれ以上論評は差し控えますけれども、現段階では最高裁において、その判断枠組みが認められたという前提で対応するというのが、私たちの基本姿勢だと思っております。