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じっくりと手間を掛けて生まれる繊細さ
歴史探訪 八代のお殿様が紙職人を招いた
「高田焼[こうだやき]」と同じくして、江戸時代から伝わる「宮地手漉和紙[みやじてすきわし]」。江戸時代初期、関ヶ原の戦の以後に柳川藩から招かれた矢壁新左衛門[やかべしんざえもん]が加藤清正公に命じられ、和紙づくりを始めたのが興[おこ]り。八代の宮地地区を流れる中宮川の清らかな水を利用して作り始めたと伝えられている。
その後、この地区で手漉和紙が盛んになり、檀紙[だんし]や奉書紙[ほうしょがみ]などの装飾紙から、障子紙などの日用紙まで幅広く作られ、加藤家、細川家、松井家と受け継がれ、御用紙としても重宝された。昔は約百軒あった紙漉きも現在は宮田氏一人がその歴史と伝統技術を受け継いでいる。八代神社の周辺を散策すると、勢いよく流れる小川に手漉きの作業をする人をみかけるかもしれない。その横では、大きな鍋釜で楮[こうぞ]をふつふつと煮ている湯気が立ち込めている。
▲八代市妙見町にある紙漉き場跡
水溶性の不純物を除去するため、
水に浸漬する。(夏6時間、冬18時間)
繊維でない不純物を除去するため、
アルカリ液で煮る。
煮熟の終わった原材料を不純物が
流出するまで水洗する。
未ざらしは、直ちに精選樽の中で入念に
塵・埃・傷痕を取除く。
精選した原材料を打解機で打解し
長刃ピーターで溶解する。
渡槽に原液と糊液(トロロアオイ)を調合し、流し漉き法で抄造する。
漉き終った紙はジャッキで圧搾し徐々に水分を取る。
圧搾を終った紙床から一枚一枚はがして
蒸気で乾燥する。
乾燥後、上紙と損紙、厚薄について選別する。
企画枚数ごとに束ねて包装する。
イ草を漉いて作られる和紙をおしゃれなインテリアとしてもアレンジしています。
生姜の茎を和紙に仕立てて作られる食器類は、軽くて使いやすく、しかも丈夫なところが人気です。
家の壁紙などに使用し、アトピーなどの病気から守ります。名刺や葉書なども作られています。
何も着色しない自然の葉の色を絵の具代わりに使う「葉彩画」は、数々の芸術展で入賞する逸品です。
工芸品 | 工房 | 住所 | 連絡先・ホームページ | 見学 | 体験 | 取扱店 |
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宮地手漉和紙 | 宮地手漉和紙 | 八代市妙見町2156(不定休) | Tel.0965-34-8311 |
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熊本県伝統工芸館、熊本県物産館 |
い草手漉き和紙 | 工房紙季 | 八代市高植本町1271(不定休) | Tel.0965-35-2063 |
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工房紙季、 八代市千丁特産品直売所「美湯菜館」 |
和紙の食器 | 柴田工房 | 八代市東陽町河俣坂3685(不定休) | Tel.0965-65-3504 |
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東陽交流センターせせらぎ |
い草和紙 | 水の子 | 八代郡氷川町若洲65(日曜日、祝日、盆、正月定休) | Tel.0965-52-6727 |
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水の子、氷川町竜北物産館 (ビストログリーン) |
葉画 | ゆめの実工房 | 八代市本町2丁目5-59(日曜日、祝日、盆、正月定休) |
Tel.0965-39-6511 |
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ゆめの実工房、熊本県物産館、 ふれあいセンターいずみ |
※体験、見学は各工房により参加人数や料金などが異なりますので、必ずお問い合わせください。