本文
艶やかさと素朴さの色彩美が映える
歴史探訪 昔ながらの節句の光景を守り続ける。
子どもの誕生を祝い、健やかな成長を願って立てる鯉のぼりと武者絵のぼりは端午の節句(5月5日・子どもの日)に欠かせないもの。その起源は奈良時代とも言われ、当時は病気や災厄をさけるための行事が行なわれていた。男の子の誕生の祝いに結びついたのは鎌倉時代の頃からで、武家政治の影響が大きかったと想像される。江戸初期頃に”鯉の滝のぼり”は立身出世の例えとされるようになり、それから今日まで日本の風物詩として定着している。
八代地域で作製される武者絵は、各地の伝統にまつわる背景画が人気で、刷毛に染料をつけて一本一本手で描く技法を続けている。
鯉のぼりも昔から変わらない形が多いが、最近では団地やマンション用のミニサイズも増えてきている。
時代の流れと共に少しずつ変化してきているが、いつまでも残したい日本の伝統的な風景には違いない。
染織物
和紙を渋で張り合わせた型紙に武者絵の下絵を描き、小刀で彫る。現在、絵柄は、二人武者絵と三人武者絵合わせて20種類。
染下用に晒(さら)された天笠木綿を絵柄に応じて5.5~8.5m程にカットする。
型紙を水にぬらし木枠に貼り付ける。型付け台の上に木綿生地をピンと張り、木枠と貼り付けた型紙を生地の上に重ね、餅米などで作った特殊糊を木ヘラで塗り、型付けをする。
絵柄の型付けされた生地を乾燥させる。
バックの紺色を刷毛で塗る。絵柄を大小の刷毛を使って色をつける(現在14色程度使用)手描きの特徴としての「ぼかし」や「重ね塗り」などで重味や深味を出す。
絵柄の色付けを終わった「のぼり」は、色のすれ及び堅牢のため約30分熱処理(80℃~100℃)した後、しばらく水に浸し、型付けをした糊を落とし、水洗いのぼりの上下の枠を引っ張って天日にて乾燥する。
よく乾燥した「のぼり」を顔の部分を伸子(しんし)でピンと引っ張り、目鼻立ちやひげなどを描く。
注文に応じ、家紋を入れ、竿を通すためのチチを縫い付けて仕上り。
一般的には家庭の玄関などに掛けられているもので、様々な色合いのものがあります。昔ながらの手法で今も広く愛用されています。
昔の町火消しが、火の粉よけに背中に家紋を入れ着ていたのが半纏(はんてん)で、仕事着のようにして使っていました。今では祭り事などに使われることが多く、様々な種類のものがあります。
最近ではよくインテリアとして活用され、微妙な色合いがとても鮮やかに染められて、手軽にお部屋の雰囲気やイメージを変えることができます。
工芸品 | 工房 | 住所 | 連絡先・ホームページ | 見学 | 体験 | 取扱店 |
---|---|---|---|---|---|---|
染織物 | 平本染工場 | 八代市鏡町鏡村556 (土・日、祝、盆、正月定休) |
Tel.0965-52-1311 | ○ | - | 平本染工場 |
染物のアイセン | 八代郡氷川町早尾192−1(日、盆、正月定休) | Tel.0965-62-3162 | ○ | - | 染物のアイセン | |
菅染工所 | 八代郡氷川町鹿島1543 (日、盆、正月定休) |
Tel.0965-52-0934 | - | - | 菅染工所 |
※体験、見学は各工房により参加人数や料金などが異なりますので、必ずお問い合わせください。