【No.10】「塩尾」急傾斜地崩壊対策工事の進捗紹介(その2)
【災害復旧だより No.8】でご紹介しました、芦北町女島「塩尾」地区の急傾斜地崩壊対策工事の続編です。
「塩尾」地区では、令和2年7月豪雨により人家裏の斜面崩壊が発生し、現在対策工事を実施しています。
【災害復旧だより No.8】(10月21日)でご紹介した時の状態がこちらです。
このとき既に、斜面に残存した崩壊土砂は撤去された状態ですが、地質調査の結果、
○斜面上部は再度崩壊が懸念される状態
○下部は斜面として安定した状態
であることが分かりました。
そして現状がこちらです。
再崩壊が懸念された斜面上部には、「法枠工+鉄筋挿入工」による斜面崩壊抑止工を、斜面として安定していた下部には、風雨による浸食防止を目的とした法面保護工(植生工)を施しました。
法枠工とは、「格子状のコンクリート(モルタル)の梁」のことで、鉄筋挿入工とは、法枠の交点部から、斜面の中の安定した土塊まで「鉄筋」を挿入するものです。ここでは、2m~5mの鉄筋を挿入しています。
これらは、不安定土塊上に施工し、法枠の自重と、安定した土塊まで差し込んだ鉄筋の抵抗力で、不安定土塊の動きを止めるものです。
せっかくの機会ですので、簡単に施工方法をご紹介します。
これは法枠の中身です。このように鉄筋等を用いて「法枠の骨組み」を作ります。
法枠の骨組みに「モルタル」を吹き付けて、法枠を形成している状況です。
法枠交点から、安定した土塊の層まで削孔している状況です。
削孔後、鉄筋を挿入し、鉄筋と削孔した土砂の隙間をグラウトで埋め、頭部保護を施して施工完了です。
昨年7月に着手した「塩尾」地区の急傾斜地崩壊対策工事も、間もなく完成予定です。
しかし現地には、斜面崩壊により損傷した擁壁や落石防護柵が未対策のまま残っています。
塩尾地区では、今後引き続き、損傷した擁壁や落石防護柵の補修・補強に取り組んでいきます。