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令和5年2月熊本県議会定例会における議案説明要旨

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0164535 更新日:2023年2月17日更新

 まず、先月24日の暴風雪によるノリ被害への対応について、御報告申し上げます。
 県では、被災後、直ちに熊本県漁業協同組合連合会とともに現地調査を行うなど、状況把握を続けており、養殖施設の被害額は、今月14日までの速報値で3億6千万円となっています。
 被災した養殖施設を速やかに撤去しなければ、被害を受けなかったノリや海域環境にも悪影響を及ぼします。そのため、早急な対応が必要であり、被災養殖施設の撤去を、県において支援することとしました。
 今後とも漁業者や関係市町と連携し、しっかりと取り組んで参ります。

第1 県政運営の所信について

 続きまして、今回の定例会に提出しております議案の説明に先立ち、県政運営に対する私の所信の一端を申し述べます。
 県南地域を中心に甚大な被害をもたらした令和2年7月豪雨災害から2年半が経過しました。県では「緑の流域治水」の理念のもと、国や市町村と連携し、球磨川流域における創造的復興に向けた取組みを進めています。
 治水対策については、この理念を盛り込んだ「球磨川水系河川整備計画」を昨年策定し、国・県がそれぞれ計画に基づいた取組みを進めています。
 新たな流水型ダムについては、事業の方向性や進捗を確認する仕組みの第1回会議を昨年12月に開催し、ダムの構造や環境影響の最小化に向けた検討状況などについて、流域住民の皆様と確認を行いました。
 また、球磨村神瀬地区では、明後日、豪雨災害後初となる宅地嵩上げ事業の着工式が開催されます。
 一方、長年ダム問題に翻弄されてきた五木村については、昨年12月定例会において、議員提案により、五木村振興推進条例が改正されました。
 この条例改正を踏まえ、先月21日に五木村を訪問し、五木村の新たな振興計画の策定に向け、五木村及び村議会の皆様と意見交換をさせていただきました。その中で、五木村の振興にかける県の責任と覚悟として、中長期的な財政支援の枠組みと方向性を村にお伝えしました。
 併せて、ダム建設予定地である相良村については、昨年いただいた振興策に関する村からの御提案を踏まえ、県としての支援策を今年度中に取りまとめて参ります。
 人吉市の土地区画整理事業のうち、県が事業主体となる青井地区は今月7日に国から事業認可を受けました。市が事業主体となる中心市街地は、年度内の事業認可に向け、法的手続きが着実に進められています。
 JR肥薩線については、鉄道での復旧に向け、関係者による協議を鋭意進めているところです。私の任期中に復旧の道筋をつけることができるよう、国、JR九州、地元市町村との協議をしっかりと進めて参ります。
 また、部分運行を再開している、くま川鉄道については、最大の被災箇所である球磨川第4橋りょうの架け替え工事に先月着手しました。令和7年度中の全線復旧に向けて、国の御支援をいただきながら、くま川鉄道株式会社や地元市町村と一体となって取組みを進めて参ります。
 被災された方々のすまいの再建については、仮設住宅の供与期間の延長について、昨年末、国の同意があり、やむを得ない事情がある世帯については、引き続き仮設住宅で生活していただくことが可能となりました。来年度にかけて災害公営住宅も順次完成し、併せて、木造仮設住宅を被災者の方々の住まいの再建先として活用することも検討されています。
 引き続き、関係市町村と連携しながら、被災された世帯それぞれの御意向を踏まえた、すまいの再建が一日も早く実現できるよう取り組んで参ります。
 次に、発生から7年を迎える熊本地震からの創造的復興についてです。
 これまでに、熊本城の天守閣復旧や阿蘇へのアクセスルートの回復など、着実に取組みの成果が現れてきました。
 来月23日には、創造的復興のシンボルである阿蘇くまもと空港の新旅客ターミナルビルが開業します。この新ビル開業に合わせたチャイナエアラインのチャーター便運航も決定しており、これは、熊本-台北線の定期便化につながるものです。このチャンスをしっかりと活用し、台湾からの誘客、台湾への送客双方の需要創出、相互交流の拡大に取り組んで参ります。
 今年の夏には、南阿蘇鉄道が全線運転再開され、これに合わせ、JR肥後大津駅への直通乗り入れも実現する見通しです。通勤・通学の足として、さらには阿蘇観光の活性化の起爆剤となることを期待しています。
 また、熊本地震の経験や教訓を後世に伝える震災ミュージアムについても、中核拠点である旧東海大学阿蘇キャンパスに体験・展示施設がオープンします。
 創造的復興の総仕上げとして進めている空港アクセス鉄道については、昨年12月定例会において「肥後大津ルート」とすることを決断しました。今後、事業化に向けた取組みを更に加速化するとともに、空港周辺地域の更なる発展を目指す、UXプロジェクトなどもあわせて「大空港構想」の実現に向け、取り組んで参ります。
 残された課題である、すまいの再建については、被災者の方々がこれまでどおり安心して生活できるよう、最後のお一人が再建を果たされるまで、寄り添って支援して参ります。
 また、益城町の復興まちづくりについては、土地区画整理事業の区域内で、新しい家々が建ちはじめ、来月には益城町役場新庁舎が完成します。加えて、熊本高森線の4車線化でも、昨年末の町中心部の木山交差点の暫定供用により、目に見えてまちづくりが進んできました。災害に強いまちづくりに向け、引き続き取り組んで参ります。
 次に、新型コロナウイルス感染症への対応についてです。
 新型コロナウイルスが県内で初めて確認されてから、まもなく3年となります。
 大幅に感染が拡大し、病床使用率も過去最大となった第8波についても、現在は感染者数が減少し、落ち着きを取り戻しつつあります。
 国は、感染症法上の位置付けを、特段の事情が生じない限り、5月8日に、現行の「2類相当」から、季節性インフルエンザと同じ「5類」へ変更することを決定しています。位置付け変更後の医療費の公的支援や、医療提供体制などの具体的な内容は、来月上旬を目途に国から示される見込みです。
 本県としても、大きな混乱が生じないよう、国からの情報収集を行い、市町村や県民の皆様に対する情報提供を細かに行いながら、しっかりと準備を進めて参りたいと考えています。
 位置付けの変更により、社会経済活動の正常化に向けた動きが、新たなステージに進んだと感じています。
 県では、新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業や農林水産業者の施設整備等に対する助成や、商店街等が行うまちなかの賑わい回復に資する取組みに対する助成など、独自の支援策を実施して参ります。
 今後も、県民の皆様の生命と健康を第一に、感染拡大防止と社会経済活動の両立を目指して取り組んで参ります。
 熊本地震、令和2年7月豪雨災害、新型コロナウイルス感染症の3つの困難を乗り越えた先にある地方創生の姿として、私は、熊本が持つ強みを最大限に生かし、日本の「5つの安全保障」に貢献する姿を描いています。
 特に「経済の安全保障」に関しては、一昨年11月のTSMCの本県進出決定直後から「半導体産業集積強化推進本部」を設置し、様々な課題解決に向けた取組みを進めています。
 先月の経済団体との訪台により、TSMCをはじめとする台湾の経済界と信頼関係を構築することができました。今後も県庁のみならず、関係機関と一丸となって受入環境の整備などに取り組んで参ります。
 人材育成については、県立技術短期大学校において、令和6年度からの半導体産業の需要に応える新学科設置に向けて、準備を進めています。
 渋滞・交通アクセス対策については、県道大津植木線の多車線化や中九州横断道路へのアクセス道路を整備するとともに、通勤バスの実証事業を実施します。
 外国籍駐在員の子どもたちの教育環境整備については、公・私立の教育機関が行う受入環境の整備を支援します。
 また、熊本の宝である地下水の保全のため、河川等の未利用水の利活用を検討するとともに、企業による地下水かん養を促進し、新たな観測井戸の設置、かん養効果等のシミュレーションなどにも取り組みます。
 さらに、県では、「くまもと半導体産業推進ビジョン」の年度内の策定に向け、昨日、有識者懇話会を開催しました。TSMC進出の効果を県内全域に波及させるため、日本を代表する有識者の方々から幅広い御意見をいただきながら検討を進めて参ります。
 また、「災害の安全保障」に関しては、今春、新たな防災センターが完成します。平時には、これまでの災害の経験や対応ノウハウを全国に発信する拠点として、災害時には、県内はもとより九州を支える広域防災拠点として、しっかりとその機能を発揮して参ります。
 今年は、蒲島県政4期目の集大成となる極めて重要な年です。
 熊本地震、令和2年7月豪雨災害、新型コロナウイルス感染症の3つの困難を乗り越え、熊本の輝かしい未来に向け全庁一丸となって取り組み、県民の総幸福量の最大化を目指して参ります。

第2 令和4年度2月補正予算について

 続いて、今定例会に提案しております議案について、御説明申し上げます。
 まず、令和4年度2月補正予算についてです。
 12月補正予算に引き続き、昨年12月2日に成立した国の第2次補正予算に基づく経済対策への対応や、県独自の地域活性化対策など、332億円を計上しています。併せて、今後の執行見込みの精査による減額など、必要な補正を行っています。
 これらにより、一般会計は120億円の増額補正となり、補正後の現計予算額は、1兆77億円となります。

第3 令和5年度当初予算について

 次に、令和5年度当初予算について御説明いたします。

1.予算の基本的な考え方・概要

 今回の予算は、蒲島県政4期目の総仕上げとして、熊本地震及び令和2年7月豪雨からの創造的復興を成し遂げ、新型コロナウイルス感染症による危機を克服できるよう、これらへの対応を最優先に編成しました。
 さらには、将来の熊本の発展につなげるため、半導体産業の更なる集積に向けた取組みや、DXいわゆるデジタルトランスフォーメーション、移住定住の推進などの事業についても計上しています。
 この結果、一般会計予算の総額は、2年連続で県政史上最大を更新し、9,136億円となりました。

2.予算の主な内容

 続いて、歳出予算の主な内容について、「新しいくまもと創造に向けた基本方針」の4つの柱に沿って説明いたします。

(1)令和2年7月豪雨からの創造的復興

 第一に、“令和2年7月豪雨からの創造的復興”についてです。

(被災者・被災地域の一日も早い復旧・復興に向けた取組み)
 まず、球磨川流域復興基金を活用し、災害公営住宅などにおけるコミュニティ形成や復興まちづくりの拠点整備を支援して参ります。
 また、公共土木施設の災害復旧事業、農地や農業用施設など、社会インフラの復旧に必要な経費を計上しています。

(県内全域で取り組む災害に強い郷土づくり)
 次に、災害に強い郷土づくりに向けて、九州の縦軸・横軸の交通の多重性を確保するため、幹線道路ネットワークの整備を進めます。特に、九州中央自動車道は来年度中に、山都中島西インターから山都通潤橋インター間が開通予定です。

(2)新型コロナウイルス感染症を踏まえた対応

 第二に、“新型コロナウイルス感染症を踏まえた対応”についてです。

(持続可能な社会の実現)
 まず、感染症の影響により、生活の悪化が懸念されるひとり親家庭や障がい者、生活困窮者など、厳しい状況に置かれている方々への支援や、増加している自殺を防ぐための相談体制の強化を実施して参ります。
 また、コロナ禍による社会の変容を好機と捉え、県内におけるDXの取組みを推進するため、デジタル社会の実現に向けて必須となる県内共通の「エリア・データ連携基盤」を構築して参ります。
 さらに、コロナ禍において地方への関心が高まっており、県外から本県に移住して就農する中高年の方に対する県独自の支援を新たに実施します。

(3)熊本地震からの創造的復興

 第三に、“熊本地震からの創造的復興”についてです。

(創造的復興の推進)
 熊本地震からの創造的復興は産業分野においても着実に進んでおり、半導体産業の更なる集積など、本県産業の現在の姿を発信する博覧会を開催し、国内のみならず世界に向け、熊本をアピールして参ります。
 また、世界文化遺産への登録を目指す「阿蘇」は、国の世界遺産暫定一覧表入りの実現を目指し、引き続き、学術的検討や周知啓発などに取り組んで参ります。
 さらに、TSMCの進出に伴い、半導体をはじめとした国際航空貨物輸送のニーズが高まる中、阿蘇くまもと空港で実証事業を行い、恒常的な輸送体制の実現を目指します。

(4)将来に向けた地方創生の取組み

 第四に、“将来に向けた地方創生の取組み”についてです。

(次世代を担う人材の育成)
 まず、次世代を担う人材の育成については、本年4月に公立では全国初となるマンガ学科を設置する高森高校において、今後の生徒数の増加が見込まれるため、教室や実習室の整備を行うなど、地域に根差した特色のある教育を進めます。

(安全・安心な社会の実現)
 次に、安全・安心な社会の実現については、県全体の子ども・子育て施策を強化するため、こども医療費助成に取り組む市町村への助成を拡充し、市町村が施策の充実・強化を図る環境を整えます。
 また、世界的な建築家である安藤忠雄氏から本県に寄贈いただく「こども図書館」については、令和6年春の開館に向けて準備を進めています。なお、県民参加型で、個人や企業から寄附金を募って、図書購入や図書館の運営などに活用するための基金条例を今定例会に提案しております。
 さらに、一昨年の2月定例会で採択された「熊本県の交通安全水準のさらなる向上に関する宣言決議」を踏まえ、交通安全に資する取組みをハード・ソフトの両面から強化し、特に摩耗した区画線の引き直しについては、県内全域で集中的に取り組んで参ります。

(魅力ある地域づくり)
 次に、魅力ある地域づくりについては、喫緊の課題である熊本都市圏の渋滞緩和のため「熊本県新広域道路交通計画」に位置付けた新たな高規格道路3路線の実現に向け、国や熊本市と連携し、住民参加型の道路計画検討に着手します。
 また、来年度は、スポーツを通じた交流人口の拡大や地域の活性化を図るため、ラグビー日本代表国際試合やツール・ド・九州2023、そして県内初となる国際バドミントン大会を官民一体となって開催します。

(5)水俣病問題への対応

 次に、水俣病問題への対応についてです。
 公健法に基づく認定業務については、新型コロナウイルスの感染防止対策を徹底した上で、申請者の個々の事情に、可能な限り丁寧に対応しながら、認定審査を着実に進めて参ります。
 また、胎児性・小児性患者の方々には、御本人や御家族の希望を丁寧にお伺いしながら、日常生活を支援して参ります。
 併せて、水俣・芦北地域の振興についても、第七次水俣・芦北地域振興計画の目標が達成されるよう、地元市町と一体となって着実に取組みを進めて参ります。

第4 その他の議案について

 以上、予算案について御説明申し上げました。このほか、今定例会には、各種条例案件や、工事関係、専決処分の報告・承認案件なども併せて提案しております。
 これらの議案について、よろしく御審議くださるようお願い申し上げます。


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